【後編】また会いたい|TGS2026を振り返って
杉本一就×前原朋之|お祭りを楽しむ側から、もてなす側へ。ΛυΛμε.のはじめての物販ブース。
東京ゲームショウ2026。ΛυΛμε.が出したのは、ゲームを試遊するためのブースではなく、Tシャツやキャップを並べた、ふた小間の物販ブースだった。透明なカーテン、光を返すガラス、壁の波紋。会議室で話し続けてきた名前に、初めてお店という形が与えられた。
学生の頃は、お客さんとしてゲームショウを楽しんでいた杉本一就。今度は自分たちが、誰かをもてなす側に立つ。考え抜いた空間が組み上がったときの自信と、通りすぎる人の視線に感じた緊張。その間には、図面の中ではわからなかったことが、いくつもあった。
前回の対談で話したのは、杉本にとってΛυΛμε.とは何なのか、ということ。今回は、その先。実際に店を開けて、誰かと話し、商品を手渡してみたら、何が起きたのか。前原朋之と杉本一就が、初めての出展を振り返る。

杉本 一就|ΛυΛμε. レーベルディレクター。ゲーム広告映像の制作に携わりながら、TGS2026ではブースのデザイン、商品企画、来場者に触れる体験の設計を担当。聞き手はΛυΛμε.主宰の前原朋之。
TGS2026は幕張メッセで開催。ΛυΛμε.は物販コーナーに出展しました。会期は9月17日から21日までの予定でしたが、21日のリアル開催は中止となり、会場では17日から20日までの4日間開催となりました。
ゲームショウに行く人から、お祭りをつくる人へ。
前編では、ΛυΛμε.のことをどう思っているか、ここまでの変遷も含めて話しました。ここからはTGS2026について、がっつり聞いていけたらと思います。そもそも杉本さんは、なぜTGSに出展したかったんですか? 結構、自分から『やります』という感じだったじゃない。そこは、あまり言語化されていない気がしていて。
個人的な思いでいいですか? ゲームショウは、最初は普通にお客さんとして行っていたんです。中学生くらいの頃にも友達が行っていて、名前は知っていたけど、幕張まで友達だけで行くのはなかなか難しくて。大学生になって、バイトもして、自分でチケットを買えるようになってから行きました。
それがすごく楽しかったんですよ。もっと早く来ていればよかった、と思うくらい。もともとゲームが好きだから、あのゲームの祭典という感じが。
お祭りだしね。ほかの業界のイベントにもいろいろ行かせていただくけど、あの雰囲気は、なかなかないよね。すごくポジティブ。
そうですね。会社に入ってからは、お仕事でご一緒した会社にビジネスデイのチケットをいただいて、久しぶりに行ったりして。一般公開日とは人の流れも違うし、海外のゲームが増えたなという印象もありました。スマホも、コンシューマーも、PCも、いろいろな国のゲームもある。業界として盛り上がっているな、と。
その後、THINGMEDIAとして一度出展したことがあるんです。ビジネスソリューションの枠で。その前から、このお祭りに、お客さんとしてだけじゃなく、自分たちも参加したいなという気持ちがあった。もてなす側で出たいな、と会社でしれっと言ったら、『出せばいいじゃん』となって。
そのときは9小間だよね。今回の僕らは2小間だから、4倍以上。
大きかったです。出せたことは嬉しかったし、そこからお仕事も広がったので、出展の意義はありました。ただ、個人的に欲しかったものとは、少し違っていたんです。
自分たちの強みは映像のサービスだったから、お話しする相手もゲーム会社の方々になる。新しい出会いはあって、すごくポジティブなんだけど、やっていることには日常の延長の感じもあって。お祭りに参加している実感が、少し薄かった。
屋台の人たち同士が、お互いのお店でご飯を食べているような感覚というか。交流に近いんだよね。
そうそう。だから今回、ΛυΛμε.で物販を出すのは面白くない? という話になったときに、『いや、それやん』と思ったんです。まさしく、お祭りに参加している感じがある。屋台でお好み焼きを出す、みたいな。
出られたらいいな、という段階から、自分が想像していたものと合致した。その時点では商品が手元にあったわけじゃないけど、出展を決めたら、何かをつくらざるを得なくなる。物を売る場面を想像したときに、体験したことのない、素敵な世界になっていそうだなと思ったんです。
一度出展していたから、自分が投げかけて、どんなボールが返ってきたら嬉しいのかが、少しわかっていたんだろうね。
多分そうですね。前に出たときには感じられなかったものが、今回は欲しかった。個人的には、そこが大きかったです。
会議室の中にあった名前が、店になった。
では、ΛυΛμε.としてTGSに出ることには、どんな意味があったと思いますか? 結果的に意味があったということなのか、最初から何かを狙っていたのか。
狙っていましたね。僕らの会議室の中で飛び交っていた『ΛυΛμε.』という名前が、たくさんの人が来るイベントの中で、看板を出して、リアルに店として現れる。その瞬間に、存在した感じがあったんです。
僕にとっては、ΛυΛμε.の存在証明になった気がしていて。そこには絶対に意味があると思っていました。名前を少しでも多くの人に知ってもらえたこともそうだけど、デジタルの中だけにあるものではなくて、実在するものなんだと、自分たちも実感できた。『本当にあるよ』という。
それは、本当にそう思う。僕はVEARTHや『殺ノ華』を主導していて、ものが出来上がって、外に出ていく過程が見えるから、実感はあったんです。でも、普段は別の仕事に向き合っている時間が長いメンバーもいる。そうすると、『これは本当に実在するものなんだっけ』と思う瞬間もあったと思う。
それが今回、肉体を伴って生まれたような感じは、確かにある。
そうですね。それは、出展で得たかったもののひとつです。
持ち帰ってほしかったのは、「なんかいい」。
出るにあたって、大事にしたことは何でした?
形になるのが初めてだったので、世の中的にも、自分たちにとっても、はじめましてのΛυΛμε.だったんですよね。細かい思想や哲学が、ぱっと見だけで全部伝わるとは思っていないです。文字で説明するわけではないので。
でも、ブースの佇まいを見て、『これがΛυΛμε.っていうのか』と、名前と一緒に雰囲気を受け取ってもらうことはできる。みんなが思い描いているΛυΛμε.と、ずれがないように表現するにはどうしたらいいか、というのは考えました。
どんなふうに受け取ってもらえたら、よかったんだろう。普段お仕事でご一緒している方も、初めてのお客さんも来てくださったと思うけど。
『なんかいいよね』ということです。生きている中で、そう思う瞬間ってあるじゃないですか。なんか気になってお店に入っちゃった、とか、なんか気になって立ち止まった、とか。
立ち止まるのか、入ってもらうのか、買ってもらうところまでいくのかはわからない。でも、その『なんかいい』は、持ち帰ってほしかったです。
それは、できた?
できたんじゃないかなと思います。感覚的には。でも、『なんかいい』を意図してつくるというのは、すごく難しいですよね。
雨の窓の向こうに、ΛυΛμε.が見える。
ブースでこだわったのは、どこなんですか?
ほぼ全部ですけど(笑)。とにかく、ΛυΛμε.を表現したかったんです。大きなパーツでいうと、透明なビニールカーテン。雨っぽさというか、『雨やめ、ΛυΛμε.』の感じを表現したくて、透明な素材を使いたかった。
あの触ったときの質感、実家のテーブルクロスの上にかかっているものにも近いよね。
そうですね。最初は、ガラスという表現が浮かんでいました。壁自体をガラスにするくらいのアイデアもあったんですけど、実際に建てることを考えると、重さもあるし、安全の問題もある。そこからビニールカーテンにたどり着きました。
晴れているときにははっきり見える窓が、雨粒によって少し歪んだり、見えづらくなったりする。その感じを、光が反射するビニールカーテンでも表現できたんじゃないかなと思います。ガラスも、別の部分には使っています。
壁の表現もあったね。
波紋っぽいものを入れました。最初は真っ平らな壁だったんですけど、少し寂しいよね、と。文字を入れるのか、模様を入れるのかという中で、波紋という表現はどうかな、という話をして。それを、ああいう形にしてもらいました。
実際に会場で組み上がったのを見て、最初に何を思った?
『マジでイケてるやん』と思いました。まず、そこは確信しましたね。あと、でかい。想像していたより、物理的に大きかった。
でも、周りも組み上がって、会場全体ができてくると、今度はコンパクトに感じるんですよ。あの天井の高い場所に置かれると、なるほど、こういう大きさなんだ、と。ちょうどいい感じになったなと思いました。建て込み中から、だいぶ異質な感じはありましたね。
準備中は「勝ったわ」。開いたら、視線が怖かった。
自分が考えた空間を、いつものクライアントではなく、一般のお客さんにお披露目する。そこに、新鮮さや発見はありました?
すごく緊張感がありました。めっちゃ見られている、というか。値踏みされているわけではないんでしょうけど、目が怖く感じたんですよね。
自分がお祭りやイベントに行ったときも、『へえ』と思いながら歩くじゃないですか。特に目的を決めているわけではなく、何かいいところがあったら見てみよう、という感じで。そういう人たちが、どんどん歩いてくるんです。
見てはくれているんだ。
そう。ΛυΛμε.のことは知らないはずなのに、ブースの横幅6メートル分、ずっと首を向けて見てくれている。その間に、何を考えているんだろう、と。よさそうだけど入らないのか、自分には違うなと思ったのか。そこが、すごく気になりました。
いつから緊張していたの? 開場前から?
いや、準備中はもう『勝ったわ』と思っていたんです。バチクソ、イケてるしなって(笑)。始まって、人がかなり入ってきたくらいからですね。試遊をいろいろ終えて、物販のほうへ流れてきて。
人が増えるほどドキドキはしていたし、それでも『いい店あるよ』とは思っていました。
最初の「ください」は、ちゃんと覚えている。
最初に買ってくれた人のことは、覚えてる?
覚えています。ただ、本当に最初のお客さんのときは、別のお仕事の対応があって、僕はブースにいなかったかもしれないです。
僕はずっといたので覚えているんだけど、デザインのお仕事をされている、男性と女性のお二人でした。まず『ブースが素敵』と言って入ってきてくださって。関西弁で、『ええやん』と言いながら、すごくお祭りを楽しんでいる感じだった。
『これ、サイズあるかな』と聞いてくださったので、僕がサイズのご案内をして、加納がレジをする。それが、いちばん最初のお客さんでした。
メッセージで『売れた』というのを見たときに、マジで? マジかよ? と思って。すごく嬉しかったです。
ほとんど現場にいたので、買ってくださった人たちのことは、すごく覚えています。それだけじゃなくて、会話した方も、Instagramをフォローしてくれた方も、『頑張ってください』と言ってくれた方も。自分が話した方は、より濃く残っていますね。
『一周してきます』と言って、戻って買ってくださった方も、結構いらっしゃったよね。
いましたね。そういう方たちも、すごく覚えています。
商品の話をしていたら、その人の話になった。

特に印象に残っているやり取りはあります?
僕がすごく覚えているのは、先生をされているという方です。ブースを覗き込んでいらしたので、『よかったらご覧になってください』とお声がけしたら、『もう、ずっと気になっていたんですよ』と言ってくださって。ここを通るたびに見ていた、と。
ザッケンのキャラクターも気になっていて、『これは何なんですか』という話になったり、Photo TEEについても『これはどういうものなんですか』と聞いてくださったり。すごく前のめりに、中身を聞いてくれたんです。
どちらも、僕らの表現として、かなりコアなところの商品だよね。
いろいろ話した上で、『では、こちらとこちらをください』と2着買ってくださって。そこから、ご自身がどういうお仕事をしているかという話もしてくれて、名刺までいただいた。
商品を通して、こんなに深く話せるんだ、と思ったんです。そのことが、すごく残っています。
僕も覚えてる。ザッケンの何がいいと思ってくださったんですか、と聞いたら、端的に『デザイン』と言ってくださった。ぱっと見のデザインがいい、と。そういう理由で買ってくださった方は、ほかにもいたよね。
いましたね。あのTシャツは、みんなで考えながら、関口さんが案を出してきたものです。
Photo TEEなど、TGS2026で紹介した商品を見る(公式発表)
「来年、これを着て来ます」がくれたもの。

ザッケンがポジティブに受け止めてもらえたのは、すごく嬉しかった。我が子をいいと思ってもらえたような感覚があって。テリーや『餓狼伝説』が好きな方も、結構いらっしゃったよね。
いました。『来年も出るんで』と話したら、『来年、これを着て来ます』と言ってくれた人もいて。あれは、すごく感動しましたね。
『これから、どんどん伸びていくんですよね』と言われたときも、ちょっと泣きそうになった。その期待がくれる勇気って、とんでもないなと思う。マジで? そんなふうに思ってくれるんだ、って。
そのエネルギーを、杉本さんも直接受け取った感じがするんですよ。TGSが終わった後も、ちゃんと次に向けて悩んでいるじゃないですか。いいことばかりではなかったと思う。想定と違ったこともあった。はっきり言えば、在庫は、自分たちが思っていたより持って帰ってきている。
そうですね。ここからだな、という感じはあります。
でも、来てくれた人からもらったエネルギーのほうが、大きかった。至らなかったところが際立って、ダメージを受けて終わるというより、受け取ったものを、そのままにしておけない。
あの日、あのときに買ってくれた人が、いつか『私は、みんなが見過ごしていた頃から買っていたけどね』と、胸を張れるようなものにしていきたいよね。
それは、そうですね。
次も、自分がやる。誰かに渡すとしても。
始まる前は、『来年は関口さんがやりましょうよ』という話もしていたじゃない。ブースや準備を、別の人に渡すことも含めて。終わってみて、そこはどう?
今は、自分がやるものだと思っています。もともと別の人がやるのもいいと思っていたのは、自分の番が終わったから交代、という感覚ではないんです。
中心に立っていると、お客さんからの『いいね』が、すごく自分に入ってくる。買っていただいたかどうかに関係なく、その反応を受け取れる。それは自信にもなるし、真ん中でやっている実感にもなる。だから、ほかのメンバーにも、その感覚を味わってもらうのはいいんじゃないか、という考えはありました。
相当、気持ちいいポジションだもんね。自分が、いいものも、想定と違ったことも、最前線で全部受け取る。
それに、ブースだけでもかなり頭を使うので、たとえば空間を別の人が担当して、僕は中身の商品にもっと全力で向き合う、という組み合わせができたら、もう一段上がる気もしていたんです。
ただ、今の感覚では、自分自身がもっと強くなって、ブースも商品も、もう一段、二段と上げていこうと思っています。分担する楽しさはあるけど、背中を預けられる形になっているか、ということもあるので。
その考え方は面白いなと思う。僕は、自分のつくるものは自分以外にはできない、と思ってやっているから、結局やりたくなるんですよ。
この場は、後輩を育てるためにあるわけではなくて、お客さんのためにある。他の誰かがやって、よりよくなるならいい。でも、そこがギャンブルになってしまうなら、任せるのは難しい。
そこはわかります。だから、前はそういう話もしていたけど、今は自分がやるだろうなと思っています。今回、商品の中身に向き合う時間も大事だと実感したので、そこも含めて、自分がどうやるかを考えています。
あと、自分よりいいものをつくられたら、悔しくない?
それは悔しいです。
僕は『自分がやったほうが、絶対によくなる』と思ってしまう。その気持ちを隠したくないんです。最高のものをつくることが目的なら、譲る、譲らないの話じゃなくなる。
ブースという言葉だけでは、ちょっと小さいのかもしれない。ΛυΛμε.の世界を物理的につくるなら、杉本さんがやらないと、というところまで行ってほしい。一度始めたら、簡単には降りられない。でも、それくらい夢中になれるものだと思う。
すごく楽しかったし、僕はこういう分野が好きだったんだな、と思いました。だから今度は、全然違う問われ方をする場所にも出てみたいですね。もっと制約のある場所とか。
ブースから、いつかパビリオンへ?
逆にいうと、杉本さんが最終的に目指す場所って、万博なんじゃない?
万博? すごい。すごいもの、多いですよね。建築家の方がつくっていたり。
今、話しながら思ったんだけど、何かの世界をつくるという意味では、そういう話なのかもしれない。ブースから始まって、パビリオンまで行きました、みたいな。『ΛυΛμε.の世界を物理的につくるなら、僕がいなきゃ無理ですよ』というところまで行ってしまえばいい。
ゲームショウだけに出続けたい、というわけではないんですよ。たまたまゲームショウがデビュー戦だった。もちろん、デビュー戦だから思い出深いですけど。
ここから何も経験を積まずに、また1年後にTGS、ということにはしたくないね。もっといろいろな場を踏みたい。
そうですね。次に見たときに『また、はじめましてですか』となるくらい、違う見せ方をしても面白いと思っています。
何か具体的な構想があるわけではないですけど、普通は覚えてもらいやすいように、少し似た形にするじゃないですか。でも来年は、自分の中の別のテーマに基づいて表現してもいい。今回は『はじめまして、ΛυΛμε.です』という感じのテーマでした。次は、全然違う形になっているかもしれないです。
そう言いたいよね。すごくわかります。
今度は、あの大きなモニターを用意する側に。
僕も、次のTGSを迎えるときには、VEARTHを『ゲームです』と胸を張って言える状態にしたいと思っています。僕の中には、『日本って、よくない?』と感じてもらいたい気持ちもあるんです。VEARTHも、こういうものづくりも含めて。
海外のゲームも、プロモーションも、映像もすごい。それと同じように、日本のゲームもめちゃくちゃ格好いい。今回のセガさんのブースでも、自分たちが関わらせていただいた映像が流れていて、誇らしいなと思った。
そこから今度は、自分たちが、ああいう大きなモニターを用意する側に行きたい。僕らには『あの会社の映像をやらせてもらっています』と胸を張れる仕事がある。それをいつか、誰かに『ΛυΛμε.のVEARTHをやらせてもらっているんです』と言ってもらえるようなところへ行きたいじゃないですか。
そうですね。会場を見ても、前にはいなかった存在が、大きな場所に出てきたりしていましたよね。
だから、僕はそこへ行くことを、遠い夢の話だとは思っていないんです。VEARTHにどれだけ熱量を込めて、皆さんに届けられるか。その前に、いろいろな関係者の方にも協力してもらう必要があるし、そうやって人を巻き込みながら、大きな場所へ行きたい。
今回、ΛυΛμε.という看板を立ててよかったと思うのは、杉本一就の中で、扉がひとつ開いた感じがしたからなんですよね。引き出しの中にはあったけど、取り出す予定のなかったものが出てきた。そこに、つくった結果の喜びや、いろいろな実感が結びついた。
それは、やってみたから起きたことだと思うし、ΛυΛμε.がもたらしたことでもあると思っています。
空間に負けないゲームを。ゲームに負けない空間を。
来年は、VEARTHというお題でもう一段、挑んでみたい。僕にとっては、ΛυΛμε.以上に、VEARTHのほうが厳しいところもあるんです。ΛυΛμε.は、帰るべき価値観でもあるから、安心感がある。でも、ゲームはそれだけではいけない。
もっと残酷な世界というか。僕は、でっかいザッケンをつくりたいです。それだけは思っているんですけどね。
次のブースを見たときに、『この作品だったら、こういう空間になるよね』と思ってもらえるだけの、説得力のあるものを、まず自分がつくりたいんです。
今回、あのブースに負けないΛυΛμε.というものがあってよかったと思った。空間は格好よくできたけど、肝心のブランドには何もない、ということではなくて。今度は、その空間に見合うゲームをつくらないといけない。
これが、僕がやりたかった『クリエイティブで殴り合う』ということなんだと思います。空間はすごく格好いいのに、ゲームが面白くなかったら困るし、その逆もある。お互いのつくるものに、ちゃんと応えないといけない。
来年は、10倍くらい大変なんじゃないですか。
もっとかもしれない。30倍くらい(笑)。考えながら試行錯誤できるのは、年内くらいかな、という感覚もある。
僕も近いです。10月、11月、12月で考えて、年が明けたら、もうアウトプットに移る時期。9月に出すなら、その3か月前には、いろいろなものがないといけない。
ブースのイメージがあって、そこに並ぶ商品をつくると考えると、年内には『こういうものをつくりたい』が見えていてほしいですよね。
年が明けて、ハッピーニューイヤーと言った瞬間に、もう9月の話をしている。『こいつら、もう2027年を終わらせようとしている』って(笑)。
買ってくれたTシャツを、次に会う日に。

改めて、出てよかったですか?
よかったのは、間違いないです。あまりにもよかったと思います。TGSに出ることもそうだし、店をつくって構えることも、自分がつくったものを売ることも、なかなかない経験じゃないですか。やらないまま人生が終わることだってある。それを、もう経験できたのはよかったです。
もっとワクワクしてもらえるチームになっていきたいね。振り返ると、出てよかったということと、エネルギーをくれた人たちに感謝、ということ。
本当に、感謝ですね。また来年のTGSで会うのか、ほかの場所で会えるのかはわからないですけど。
ほかの場所でも会おう。TGSでも会おうぜ、という感じだね。ゲームが好きだから来ていたわけだし、一緒にゲームの世界を盛り上げよう、と思います。
僕らみたいに、何かやってみたいと思っている人は、ほかにもいるはずなんですよ。この記事を読んで『自分たちも出ていいんだ』と思う人がいるかもしれない。ゲームを通して、どうしたら毎日をもっと楽しく過ごしてもらえるか。そういうことを必死に考えている人たちの、一員でありたい。
もちろん、そんなに重く考えなくてもいい。友達について来た人も、パートナーとデートで来た人も、仕事で誘われて来た人もいる。その中ですれ違って、僕らのところに来てくれたことも、奇跡みたいなものだと思うので。また会場で会いたいですね。
ぜひ会いたいですね。Tシャツを買ってくださった方は、着て来てほしいです。
ぜひ。最後に、言い残したことはないですか?
いろいろ言いましたけど……来年、楽しみにしてくれよな、というくらいですね(笑)。
会議室で話していた名前が、お店になった。そのお店で交わした言葉が、次のものづくりの理由になった。
「来年、これを着て来ます」。その約束に、どんな空間と、どんな作品で応えられるだろう。杉本のTGS2026は終わったけれど、次の店の話は、もう始まっている。
杉本一就のInstagram|@sugimoto_kazunari
約66分の音声対談をもとに、発言の重複や言いよどみを整理し、話題ごとに再構成しています。掲載画像はΛυΛμε.の公式公開素材です。今後の出展・制作についての発言は、対談時点での構想や意気込みです。